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掲載期間:2017年10月23日〜2018年3月31日

OBLIVION DUST スペシャルコラム

ある種不思議なクローズド感に包まれていたバンドだった

「登場が早すぎた」とか「ようやく時代が追いついた」というような賞賛のしかた、音楽関係でもそれ以外の方面でもよく見る常套句なので、できればあんまり使いたくないのだが、ことこのバンドの場合、事実としてそうとしか言いようがないので、しょうがない。

90年代後半のデビューから、2001年6月30日に解散するまでの活動期間に、4枚のアルバムをリリースしているが、このバンドがシーンのどまんなかに躍り出るようなことは、なかった。
ヒットチャートを席巻するようなこともなかったし、パンクとかミクスチャーとかの、なにがしかのムーヴメントの一員だったこともない。
日比谷野外大音楽堂でワンマンを切ったらあっさり満員になったりしていたので、一定数以上のファンはちゃんといたのだが、何かこう「知ってる人だけ知ってる」「ファンは異様に熱いが外側の人はその事実を知らない」というか、そんなような、ある種不思議なクローズド感に包まれていたバンドだった。

2007年に再結成し、ライブや作品のリリースを再開して以降も、しばらくの間は同じようなイメージだった、と言っていいと思う。
それが目に見えて変わり始めたのは、2008年から2010年まで実質的に活動休止状態だったのが(ほかにもバンドとかユニットとかいろいろやっているメンバーたちなので、物理的に並行で動くのが不可能だったせいだと思われる)、2011年2月から動き始めた頃だった。

OBLIVION DUST スペシャルコラム

2011年

こんなに広く大きく影響を与えてきていたのか。こんなにインパクトを与え続けてきた音楽だったのか。こんなにワン&オンリーだったのか。
ということが、後続のバンドたちだったり、シーンだったりを見ていて、ようやく目に見えてわかるようになったのがこの時期だった、ということだ。いや、今「ようやく」と書いたが、そう書いた僕自身も、そこまでその事実を把握できていたわけではない。2011年以降の、シーンなり、新しいバンドなり、オーディエンスの様子なりを見ていて、「あ、そんなすごい影響力を持っていたバンドだったのか」と、遅ればせながらやっと理解した、というのが正直なところだ。
すぐれた新人バンドが現れた、でもその音、何か自分が知っている感覚がある。なんだっけ……あ、オブリだ! というような。

実は重要なバンドだったことがあとから立証された

OBLIVION DUST スペシャルコラム

2012年

ヘヴィ・ロックとエレクトリック・ミュージックの融合のしかたのおもしろさ。同時にさまざまなロックをベースにしているが、楽曲が「ミクスチャー・ロックの定型」に収斂していかない、そこを絶妙にかわしていく斬新さ。
自分たちがルーツにしている洋楽ロックとの向き合い方そのもの。リアルタイムの洋楽の影響を直接的に浴びたバンドは、それ以前にも多数存在したが、そういうのはちょっと違う、海の向こうとかこっちとか関係ない、ただ同時代のロックとしてあたりまえにシンクロしているし、リンクしているし、同時進行している手触りなのだ。
ボーカルのKEN LLOYDが日英のハーフであり英語ネイティヴである、というのは、その理由のひとつにはなっているだろうけど、決してすべてではないと思う。

そんなOBLIVION DUSTの音が、多くの少年少女たちに深く刺さっていた。ドカーンと売れてムーヴメントを作って、多くのバンド少年たちに影響を与えて──というような、わかりやすい存在ではなかったので見えにくかったが、実は重要なバンドだったことがあとから立証された、ということだ。

2017年から2018年にかけては何か違うモードに入るのかもしれない

OBLIVION DUST スペシャルコラム

2014年

そんなOBLIVION DUSTが今年2017年、結成20周年を迎えた。が、それを記念したベスト・アルバムとかニュー・アルバムとかをリリースする動きがないのは、20年のうちの半分以上は動いていないわけなので、これで「20周年でございます!」みたいな顔をするのはどうも気まずい、という気持ちが、本人たちにあるからだろうと推測する。
ただ、だからといって本当に何にもしないのも、ファンに対してどうなのよ。と思ったからかどうかは知らないが、2017年12月から2018年2月にかけて、全国ツアーが行われる。
全部で20本という多さも、各地のライブハウスをこれだけ細かく回るのも、このバンドとしては結成以来初めて。

なお、ファイナルの東京公演の詳細は、11月上旬に発表される。
KEN LLOYDは自身のユニット、FAKE? を長年続けているし、K.A.ZはHYDEとのVAMPSの活動があるし、RIKIJIは特撮等サポート多数。と、普段ここだけに集中して動くことがなかなか難しいバンドがこれだけの本数のツアーをやるということは、2017年から2018年にかけては何か違うモードに入るのかもしれない。2016年7月の『DIRT』に続くニュー・アルバムも、そう遠くない時期に期待できるかもしれない。というか、期待したい。


(文/兵庫慎司)